あまのはらの大筋は宇津保物語を参考にしています。遣唐使船に乗り遭難した

平安貴族俊陰が波斯琴を習得したことに始まる、一族の人生と琴と朝廷が絡む

本物の平安歴史ファンタジーです。

ただし、この波斯もペルシアではなく、地理的に考えて遣唐使船が漂着しうる東南アジアを指すのではないか、という説もあります。

個人的には、著者は「波斯」にインドやペルシア、ソグド等々エキゾチックな

西側のイメージが詰め込んだのではないかなと。

歴史学（門外漢ですが）的に見ても、創作的にも面白い物語だと思います。

宇津保物語は複数の物語を集めたせいでやや矛盾が見られますが、妻子想いの男仲忠、入内した娘を案ずる貴族、帝を琴で感動させる

平安少年漫画風ストーリー、普通に読み物として面白いです。

もっとも私が読んだ現代語訳の文体による印象かもしれません。

*室城秀之編『うつほ物語　ビギナーズ・クラシックス　日本の古典』2012年、角川ソフィア文庫、山口博『平安貴族のシルクロード』2006年、角川選書

頼振南「日本平安時代初期物語文学におけるアジア叙述－『竹取物語』と『宇津保物語』を中心に」輔仁大學日本語文學系研討會； 2013 / 11 / 16 ， P268 - 284