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働き者のイーゴリ
イーゴリは働き者だった
昼も夜も働いた
春も冬も働いた
父と母のために
妹と弟のために
手を豆だらけにして
毎日鍬を振るった
小麦を刈った
薪を運んだ
イーゴリは泣き言ひとつ言わなかった
若く美しく逞しいイーゴリに、村の娘達は毎朝見惚れた
鍛冶屋も粉屋も宿屋も密かに彼に一目置いた
村中に聞いてごらん
みんな口を揃えて答えるさ
ああ、イーゴリは働き者だった
イーゴリを雇いたい?
それは残念
彼はもう働けない
イーゴリは死んだ
ずっと前に死んだ
彼は今も
遠い遠い死者の国で
神のために働いているだろう
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